4ヶ月前…


「松坂詩織です!担当教科は音楽です。高校1年B組の副担任をします。昨年定年された赤井先生の後任としてオーケストラ部の顧問もします。よろしくお願いします!」



決まった!どうだ!


掴みはばっちり!!!


そんなことを思っているとステージ袖で相原先生が肩を震わせて笑っている。


緊張がばれたか…。



相原先生は体育科の男性教諭。同じ1年B組の担任の先生だ。


今日は始業式。私はこの私立天瀬学園中学高等学校という女子校に音楽教諭としてやってきた。



いままでは他の高校で教師として働いていたが、この学園で働かれていた赤井先生が定年される際、以前から赤井先生との交流があった私に声がかかったのだ。





先生方への挨拶は春休み中にとっくに終わっていた。


相原先生は同じクラスの担当。職員室での席も隣ということもあり話す機会が多くすぐに意気投合した。


おそらくほとんどの先生とは会話を交わしただろう。



でも生徒の前に立つのは今日がはじめて。



第一印象が決まってしまう、恐ろしい日なのだ。


本当は先生っぽく余裕たっぷりのオーラをだして自己紹介をしたかったけど、噛まずに言い切るのが精一杯だった。