飼い猫と、番犬。【完結】






あの時、土方さんが言っていた言葉の意味がわかったのはその数日後のことだった。


尊皇攘夷を掲げ、反幕府派として有名な宮部鼎蔵に近しいと思われる男を捕らえることに成功したんだ。


俄に屯所が慌ただしくなる。


わざと逃がしたそいつを使い、奴らの隠れ屋を見つけ出すと、今度はそこで捕らえた桝屋喜右衛門が拷問にかけられた。


近付くなと言われた私は、拷問の行われた蔵の中を覗くことは出来なかったけど、きっと想像以上の何かが起きてきたのだと思う。


屯所中に響く悲鳴。


最早理性ある人間の声とは思えないそれは、隊士達をも竦み上がらせた。


……それは私も同じことで。


あの土方さんがまた少し遠いところに行ってしまったかのような錯覚に、よくわからない不安さえ覚えた。


普段は底抜けに明るい左之さんや新八さんですら、蔵から出てきた時の顔は別人のように表情を失っていた。


遠巻きに見ていた私に気が付くと微かに笑みを浮かべてくれたけど、どうみても無理矢理過ぎて歯痒い。


手伝いますと言えない自分が、悔しい。


悲鳴をあげる男に拷問を加えることもさることながら、それを行っている土方さんを見るのが怖かった。


なんて、弱いんだろう。



……私が女じゃなければ、皆のようにもっと強くいれたんでしょうか。
















「え、山南さん、行かないんですか?」