それは、初めての夜から暫く経った頃のこと。


その日、山崎の部屋で過ごすことになった私がその腕の中でうつらうつらと眠りに落ちかけていると、ふと山崎の声が降ってきた。


「そういや自分、副長とはどこまでやったん?」

「……、はっ?」


突然出たあの人の名前に微睡みも霧散する。


「なっ、なにを……」

「やーやってへんにしたかてちったぁ手ぇも出してきよったんちゃうん?それともほんまに口吸うただけやったん?」

「それは……」


やっぱり気になるところなのだろうか。


私だってこいつの離縁した人というのが気にならない訳ではないけれど、だからと言って聞きたいかと言えばそうじゃない。


夫婦となればそれなりのことはあったのだろうし、あまり気分の良くない話になるだろうことは容易に想像がつく。


それにこいつの女関係なんて、聞けば聞くだけ出てきそうで恐怖しかない。


「……そんなの聞いてどうするんです」

「どうもせんけど。なんなん、俺には言えんようなことしてたん?」

「しっ、してませんよっ」

「ほな教えてや」