「……ちょっと、なんでいるんですか」


風呂から戻ったそうちゃんが部屋に寝転ぶ俺をじろりと見下ろす。上気した頬に湿った髪がいつもよりそいつに女を漂わせていた。


「ええやん、暇やしちょい遊びに来てん」

「……まぁ、良いですけど」


にこやかに言う俺に口を尖らせつつ障子を閉めたそうちゃんは、中々の照れ屋さんだ。


喜んどるくせに。


そんな可愛いそうちゃんはにやつく俺を睨みつけ、険しい顔で行李を開けるとゴソゴソと何かの用意をし始める。


「何してんの?」

「明日の支度です。朝は何かと時間もないですから」


……マメなやっちゃな。


と思えど、こいつの朝の弱さを思い出せば全ては納得だ。


そら二度寝しとったら時間もないわな。


ありありと想像出来るその姿を鼻で笑って、もう一つある行李に手を掛けた。


「しっかしまぁ自分物少ないなぁー女子の割りに慎まし過ぎへんか?」

「ちょっ!?何勝手に見てるんですか!!」

「いて」


相変わらず一欠片の容赦もなくしばかれる俺。


髪の乱れた頭をさすりながらも、行李の隅にちらりと見えた物に何となく引っ掛かりを覚えて眉を寄せた。