飼い猫と、番犬。【完結】




「……、あいつはどうした」


肺に入れた紫煙を静かに吐き出し、その人は部屋に溶け込んでいくそれをじっと見つめる。


副長の鬼面を外せば何のことはない。この人もただ沖田を想う人間なのだ。


「泣き疲れて寝てやるわ。血ぃ吐いたんも今日が初めてやからな、色々きつい筈や」

「……なぁ、あいつは」

「労咳やで。南部はんの診断受けて良順も知っとる。間違いあらへんよ」



きっぱりと言い捨てる俺に副長の顔がぴくりと歪む。


だが知られてしまった以上、この人には上役として全てを知る必要があった。


いつ頃からなのか、沖田の体調の変化、そして良順からの言葉。


同じ病を患ったことがあるこの人なら薄々わかってはいるのだろうが、それでもあいつのこれからの身の置き方を考えるには、あの細い体にはもう短い刻しか残されていないということを、もう一度ちゃんと理解してもらわなければいけなかった。






「……んの馬鹿が……」


居住まいを正し、煙草すら吸うのを忘れたその人が漏らした声にはやはり苛立ちが滲んでいた。


「自分かてそやろ。好きに生きとる奴は皆そんなもんや」

「……あいつは女だぞ?こんな所で──」

「あかんか?女子の幸せ与えられんかったんは自分ちゃうん?せやのに今更女子扱いするとか勝手ちゃうか」