「てめぇは、あいつが弱ってくのをずっと黙って見てたのか」
だがそれを気にすることもなく、目の前に立つその人はきつく歯を食い縛って拳を震わせる。
いつも冷静に周りを見る鬼の副長の姿からは程遠い、人間染みたその様子がこの人の本質なのだろう。
無慈悲に惨たらしい拷問をやってのけ、仲間の死にすら冷静な顔を保ってきたというのに、あいつのことだけはやはり今もそうはいかないらしい。
俺も然り。
どうしてあいつの周りはこうも阿呆ばかり集まるのかと思わず口角が上がる。
「……何で隠した。もっと早く聞いていればちゃんと──!」
「好きにさしてやりたい思たからや」
端から見れば、あれの命を縮めるような俺の行動は間違っているのかもしれない。
だがこれが俺なりの生き方で、想い方なのだから仕方ない。
「あれは此処におりたい言うたんや。俺は手伝うてやりたい思た。それの何があかんねん」
「何がっててめぇ──」
「良いんです土方さん!」
立ち上がった俺の胸倉を再び掴んだその腕に、細い腕が絡まる。
以前よりほんの少し痩せた、沖田の腕が。
「私が頼んだんです。どうしても日野には帰りたくなかった。もう一人になるのは嫌だったんですっ」


