飼い猫と、番犬。【完結】



「自分が報告終わって戻ったあとにこれが落ちとったんやと」


そんな心を見透かしたように差し出されたのは小さな四角い紙包み。


「あ!それっ」


それを見た瞬間やっと頭がはっきりして、大きな声が出た。


慌てて袂に手を突っ込もうとして、漸く自分が襦袢一枚になっていることに気が付いたけれど。


兎も角、それは間違いなくさっき巡察の帰りに一人寄り道した神社で頂いたばかりの御守りだった。


「袖んとこほつれとったさかい落っこちたんやろな」

「うーでもさっき貰ったばかりなんで良かったです……」


貰ったその日に落とすとか間抜けにも程があるけど、落ちたのが他の場所なら絶対に見つからなかったことを思えばある意味運が良いのかもしれない。


戻ってきたことに安堵してそれを握り締める私の額に、再び濡れた手拭いがぴしゃりと置かれる。


「神頼みもええけど倒れとったら意味ないで」


そこはかとなく不機嫌そうなのはそれで、らしい。


「や、別に倒れてた訳じゃないんですけど……」

「はあ?」

「や、ちょっと布団に凭れ掛かって休んでたらその、うとうとしちゃって」

「……チッ、おっさんめ」


おっさん……まあ確かに最近苦労の所為かちょっと老けた気もしないでもないですけど。