こんな時、無意識に浮かぶのは山崎のことで。


すっかり飼い慣らされてしまった自分に何の違和感すら覚えない程、あいつの存在が隣にあるのが普通になっていた。



「……うー……」


頭を起こしかけて、思わず唸る。


この数日続く微熱にどうにも体が重くて少しだけ辛い。


隊務に立っていればそこそこ気合いが入って平気なのだけれど、一旦こうして気が抜けてしまうと起き上がることすら面倒になる。



「こほっ、……あー……」


立ち上がることを諦め、ぽすりと再び布団に頭を預けて目を瞑る。熱に体力を奪われた体は直ぐ様休息を欲して心地よい微睡みに溶ける。


少しずつ、病魔が体を蝕んでゆく。


増える咳。
繰り返す微熱。
続く倦怠感。


治るかもしれないなんて希望はいつからか見ないようになった。


怖い。


必要とされなくなるのが。


平助や一くんのように、山崎まで私を見限り行ってしまうのではないかという不安が胸にちらつく。


一人は嫌だ。


少しずつ、だけど確実に衰え始めた体力に、明日が来るのが怖い。


私は沖田総司で。
誰にも、負ける訳にはいかないのだから。






「……────?」



落ちゆく意識の中で聞いた声は、そんな私の弱さが見せた夢……なのかもしれない。