局長と参謀の意見が真っ向から割れたこの頃合いでの今回の事だ、隊の中でも様々な憶測がなされている事は承知している。
組頭の中でも特に実力のある二人だ、噂にならない方が可笑しい。
けれどまぁ他人が幾ら考えたところでその思惑は本人達にしかわからぬことで。
「ちゅうか自分熱あんねやろ、人の事ばっか考えてんと早よ寝ぇ」
「む」
着ていた綿入りを沖田の頭に被せて油皿の火を消すと、同じ布団に潜り込む。
新春といえどもまだまだ寒いこの季節、温もりを湛えた布団というのはとても心地よかった。
「……ですね」
暗転した部屋ではその細かな表情までは窺い知ることは出来なかったけれど、己を納得させるかのように呟き、するりと身を寄せてきたそいつに満足して唇を重ねる。
ほんの少しだけ唇が濡れる、そんな口付けを交わして、沖田がその指に力を籠めた。
「……もし、移ったら」
軽く咳き込んだそいつ。
俯き、消え入りそうな声を漏らすのは、体調を崩したことで気が弱っているからなのか。
酷く怯えた様子の沖田に流石の俺も奥歯に力が入るけれど。
「もしは知らん。けどまぁ好きにやらせてもろとるし後悔はせんな、そん時ゃそん時や」
と思うから。
無理矢理顎を上げさせ再度口を吸った俺に、沖田が目を丸くする。
「貴方はお気楽過ぎます」
「自分は考え過ぎや」
何て言い合いつつも口付けは拒まないそいつは結局、俺の手を振り払うことなど出来ないのだ。
恋情か征服欲か、そんな沖田に喜びを感じる俺もまた同じくなのかもしれない。
俺は父とは違う。
「……知りませんよ」
「ええよ、俺も知らん」
安穏な幸せよりもこのくらいの方がきっと面白いのだ。


