色鮮やかな紅葉の時期を終え、茶色く枯れた葉が冷たい木枯らしに寂しげな音を鳴らして地面を転がる。


巡察に出ればじっとしているより体は温まるのだけれど、屯所へと帰りつく頃にはたっぷりと吸い込んだ冬の乾いた空気に少しだけ胸が重い。



「……はぁ……、けほっ」


早く暖かくなってくれませんかね……。


まだ始まったばかりの冬。


報告を終えた足で向かった勝手場で、夕餉の支度で忙しそうにする女中さんに分けてもらった湯を飲み終えた私は、憂鬱な気分で指先に息を吐きかけ部屋に向かった。


とはいえ夕餉まではもうあまり間もなく、火鉢を入れる訳にもいかない。


布団にでもくるまっておきましょうか……。


一日誰もいなかった部屋の寒さを思い、また溜め息を吐き出すと、部屋の障子に手を伸ばした。


すると、私がそれに触れるより僅かに早く、隣の障子がするりと開いて一くんが顔を覗かせる。



「総司、夕餉まですぐだろう。こっちで火鉢にあたっておかないか?」

「わ、良いですか?有り難うございますっ」


あまり多くを語る質ではないけれど、一くんはその分本当に気が利くと思う。


「着ておけ」


と無愛想に押し付けられた綿入りはまだ温かくて、その優しさに思わず笑ってしまった。



「隣に自分のがありますから大丈夫ですよ」

「……良いから着ておけ」