なのにだ、
「……有り難う、ございます」
何故か降ってきたのはそんな言葉で。
「……はあ?」
思わず眉を潜めて口が開いてしまった。
「だ、だってその、まださっきのお礼、言ってませんでしたから。助けてくれたの……貴方ですし。それにその、平助の事とか。……い、今も一応手当てしてもらいましたし」
半身を起こし、衿をきゅっと合わせるそいつ。
恥ずかしげに顔を伏せながらも今の事には全く触れずにそんな事を言うのは、俺の怒りの矛先に気付いたからなのか何なのか。
……なんやねんそれ。
一瞬呆気にとられてしまったものの、そう思えば目の前に映る沖田のいじらしさについと頬が緩んだ。
「なんや、襲ってくれた礼か思たのに」
「ちっ!?違いますよ!」
それでもつい軽口で返してしまうのはもう癖のようなものだ。
他の誰よりも良い反応が返ってくるこいつだからこそ、面白くて止められない。
これを慕う連中も、少なからずそんな真面目な部分に惚れているんだろう。
「ま、もー遅いし今日は寝ぇ。明日また調子聞かせてもらうさかいに」
ぼりぼりと頭を掻いて起き上がる。言ってしまえばそこそこ諦めもついた。
これ以上沖田を此処に留める理由もない。その流れになるのは至極当然だったように思う……のだが。
「……あの、今日は此処にいたら駄目……ですか……?」


