飼い猫と、番犬。【完結】


恋情か、ただの支配欲か。


久々過ぎるそんな感情は、自分でも正体が掴めず何と呼べば良いのかわからない。


ただ、さっきとよく似たこの状況にふと苛立ちが甦って、触れたくなった。


幼稚な衝動。
そこに欲はなかった筈だった。


だが唇に触れるその感触は、否が応にも別の感情を呼び起こさせる。


熱が、灯る。



……これは怪我人や。


ここまで来て己を律するのは中々の苦行だった。


けれど、この糞真面目な女なりの面倒臭いけじめの付け方に付き合ってやると決めた時点で、勝敗はもう決まっているのだ。



ちゅうかあんな奴等とおんなじとか俺が嫌や。




「……あーもー!」


其れ者(芸妓・遊女)の方が幾らか楽やわ……。


勢いをつけて体を離すと、そのままごろりと横に仰向けになる。


火皿の側の紙が飛んでまた部屋が僅かに暗くなった。


瞼を落として大きく吸い込んだ息をゆっくりと吐き出せば、籠った熱が少しだけ空気に溶けていった気がした。


隣では微かに衣が擦れる音がして、沖田が静かに身を起こす気配がする。


また顔を真っ赤にしながら文句を言ってくるのだろう。


そう予想して目を開ける。