飼い猫と、番犬。【完結】


恐る恐るといった様子で沖田が此方を向く。


そんな沖田を見るともう暫く遊んでいたくもなるが、流石に夜も更けてきた今時分、あまりのんびりもしていられない。


「取り敢えず薬は塗っとくけどまぁそないでかい傷もあらへんし、すぐ目立たん様なるわ」


言いながら沖田の手を取り、火鉢の側で緩めた膏薬を塗っていく。


頬にまでついた擦り傷は女子として少し可哀想ではあるが、心配する程のものではないだろう。


これだけ堂々と沖田に触れて抵抗されないのは初めてかもしれない。


滑らかで柔らかい肌。どうせならもっと違う形で触れたかった。



「……そういや貴方いつから隊医になったんですか?」

「あ、ちょい言ってみただけ」

「……」

「そないな顔せんかてええやん、実際似たよな事してんねやし。ちゅうか他にも痛いとこあるやろ、見せ」

「……ないです」


照れ臭いのか、ちらちらと目を泳がせる沖田に笑いながら、他につかないようにと膏薬の上にさらしを巻く。


だが、最後の最後で声を小さくして顔を背けたそいつに、すっと目を細めた。


「……嘘こけ。ええから見せ!」

「や!いいです!大丈夫ですからっ、い゛っ!!」


慌てて後退る沖田の足を強引に引き寄せ、手首を押さえ込むように押し倒す。


そして少しばかり力を入れてその脇腹に触れた途端、痛みに顔を歪めて声を上げたそいつに、俺はにっこりと笑みを浮かべた。



「あんなオモクソ蹴られて何もない訳ないやろ。大人し見せやっ」

「ちょっ!待っ!」