「今日の責任とるからさ、お嫁さんに来ない?」
「へっ!?や、そのっ」
「あの人より大切にする自信はあるけどなー。それに、俺ならあの人の術解いてあげられるかもよ?」
「……む」
「む、やあらへんむーやっ。何のせられとんねんど阿呆」
突然のことに狼狽えているうちに、いつの間に後ろにいたのか頭に手刀が落ちて来る。
痛みに振り返る間もなく首に腕が絡み付いて、無理矢理後ろに引っ張られた。
「自分も、しつこい男は嫌われんで?」
「そっちこそ女の子にはもっと優しくしなきゃ嫌われるよ?ま、さっさと嫌われちゃってくれたら俺は万々歳だけどね」
……なんですかこの状況は。
背中には山崎、前には羽織の裾を握って離さない平助。
笑顔の筈の平助からはどす黒い何かが漏れていて、後ろからも同じく不穏な気配が漂い来る。
いつも感情の見えない山崎にしては、それは物凄く意外で。
苦しいと文句を言おうとした気持ちも、妙な気恥ずかしさに掻き消えてしまった。
なのに。
「ええねん、これは不本意な奴好いたりするんやで?虐められるん大好きに決まってるやんか」
「って、ちょ……!」
変なこと言わないでくださいよっ!


