漸く寒さを感じられるまでに落ち着いてきた私は、新たに襲う緊張に羽織をきゅっと握った。
迷って、それでも来てくれた平助を、私はまた突き放そうとしている。
今度こそ近くからいなくなってしまうかもしれないと思うと、怖くて喉が詰まってしまう。
でも、これは私自身がちゃんと言わなければならない事。
私なりのけじめ、なのだ。
「でも、やっぱり私は平助の気持ちには答えられません。その……少々不本意ですが好いてしまった人がいるので」
「……おい、不本意ってなんやねん」
……ちょっと。
これでも私なりに頑張って本音を口にしたのに、平助の反応を待たずに横槍を入れてきたのは勿論あいつだ。
「そこはもーちょい素直に認めたらええんちゃうん?」
「わ、私は至って素直です!不本意なんですから仕方ないでしょう!?ていうか今大事な話なんですから邪魔しないで向こうに行っててくださいよっ」
「うわ、助けたった恩人邪魔もん扱いしよったでこいつ」
「それはそれ、これはこれです!」
真面目な話が台無しじゃないですかっ!
相変わらず我が道を突っ走る山崎に耐えきれず声を上げた。
空気読めなさ過ぎです!
怒りに霞んでしまったさっきまでのしんみりした気持ちをどうしようと、妙な焦りを覚えた直後。
「不本意、なんだね」
笑いを噛み殺したような平助がまた、ふわりと抱きついてきた。


