飼い猫と、番犬。【完結】



「……知ってたんですか?」


やっぱり変だ。


恰もこうなることがわかっていたかのような物言いに、ほろりと言葉が漏れた。


すると平助は益々申し訳なさそうに顔を歪める。


「……こいつらが総司を呼び出した事だけは山崎さんから聞いた。でも、それなら山崎さんが行けば良いんだって思ってた。俺が手出しする必要なんてないって。でも、やっぱり気になって……場所探してたら遅くなった。ごめん」


その話には納得したけど、今度は別のところに引っ掛かって眉が寄った。


え、じゃあ山崎は……。


とその人を見上げたところで、


「おいこら、それだけやったら俺がめっちゃ悪もんやんけ」


山崎が平助の頭に手刀を落とし、可愛く肩を竦めて私を見た。


「自分が話あったんはこいつやろ、そこを利用されてんから男やったらちゃんと責任とって何とかせぇ言うたってん」


俺は何もせんて言うてな、とあっけらかんと言ってのけるそいつはらしいと言うか何と言うか。


お陰でもやりと湧いた不安は呆気なく霧散した。


まぁ、奴等との話を何処で聞いてたのかは知らないけど、仮にも恋仲(多分)なのだし、助けてくれても良いんじゃないかとも思う。


でも、


平助に伝えてくれたのも、手出しをしないで待っていてくれたのも、きっと山崎なりの優しさなのだ。


平助と話がしたかったのは確かだし、早々に山崎が私達の間に入っていれば、それを見た平助はどう思っただろう。


一見冷たく感じるけど、山崎は私を女として甘やかすのではなくて、一人の人間として立ててくれたのではないだろうか。



そうんな気がするのは欲目……なのでしょうか。