押さえ付けられた手首が、腹に跨がり私に触れる手が心底気持ち悪い。
嫌だ。
こんな奴等に辱しめを受けるくらいならば死んだ方が幾らかマシだ。
京にまで付いてきておいてこんな終わりを迎えるなんて、正直死んでも死にきれないけれど。
それでも私は、貴方達なんて死んでも御免です。
諦めなのか覚悟なのか、すっと心が冷えてゆく。
男達に気付かれない様に口の中で舌を噛む。あとは顎に力を入れるだけ。
刹那、走馬灯の様に沢山の顔が脳裏を掠め、申し訳ない気持ちで一杯になる中、最後に浮かんだのはやっぱりあいつで。
こんな時だというのに、思わず苦笑いしてしまった。
「ぐっ」
直後、くぐもった声をあげた男が力なくのし掛かってきて、はっと目を開ける。
その肩越しに見えたのは──
「総司っ!」
「……へ……すけ?」
泣きそうな顔をした、その人だった。
「ごめん」
訳のわからないまま男の重みが消えて、身を起こそうとした私はそのまま平助の腕の中へと収まった。
震えているのは平助だった。
何で謝っているのかとか、どうして此処にいるのかとか、わからない事は沢山あったけど。
取り敢えず今はその温もりに目の奥が熱くなる。
泣いては駄目だとどうにかそれを堪えると、じわじわと湧き上がる安堵の気持ちに平助の着物をぎゅっと握った。
「有り難う、ございます」
「……俺は何もしてないよ」
「そんなこと」
「山崎、さんだよ。……ねぇ、出てきたら?」


