「は……」


大きく息をついた沖田の濡れた唇が艶かしい。


男のフリをしていても所詮こいつは一人の女。


こんな夜でもわかる程甘やかに蕩けたその表情がまた男を誘うのだと、こいつは絶対にわかっていない。


「……やっぱ助兵衛な才能や」

「……え?」


ぽそりと小声で呟いた言葉が聞き取れなかったらしい沖田がようやっと俺に視線を向けた。


阿呆の子よろしくこれまで男の気持ちなど微塵も気付いていないだろうそいつ。


やはり少しばかり虐めたところでバチは当たるまい。



「や、前ん時は舌食い千切られそーやったなぁ思て」

「あ、れは貴方が無理矢理っ」

「今かて許可はもーてへんけど普通によがってたやん」

「よがっ……」


ふと過った初めのアレをネタにちょっぴり意地悪く微笑んでみる。


「……なあ?」


下から嘗め上げる様に見つめると、ぽぽぽと音が聞こえそうなくらい羞恥に顔を歪めたそいつがあまりに予想通りでつい吹き出してしまった。



「……あーもーほんっと殴りたい……」

「えっ、総ちゃんそんな趣味あんの?流石の俺もしばかれて悦ぶ趣向はちょいあらへんのやけど」

「ち、違いますよ!何でもそっちに結びつけるの止めてくださいよね!」

「そっちってどっち?」

「ーーっ!」

「あだっ!こら、暴れな」