少し落ち着こうと目を閉じてゆっくりと息を吐くと、改めて瞼を開ける。


そこにはやっぱり山崎の寝顔がある。


忍のくせに私の気配に気付きもしないで寝ているそいつにちょっと気が抜けて、じっとその顔を見つめた。



……垂れ目。


こんな近くでじっくりと見ることは実は初めてな気がする。


珍しくちょっと下から見てる所為もあるとは思うものの、目を閉じていてもその垂れ目は健在なのかと何気なく関心してしまった。


ふ、と目を動かして、次に気になったのは、顎。


……また髭、生えてる。


山崎は男にしては割と小柄で華奢な方だ。


散らし髪であること以外は身なりもこざっぱりしているし、特に毛深い印象もない。


この前の朝もあとから思ったが、控えめながらもちびちびと生えているそれは何となく違和感で。


思わずそっと手を伸ばした。






「寝込み、襲わんとってくれへん?」


その顔に触れた瞬間、ぱちりと開いた垂れ目と目が合う。


……へ?


「もー総ちゃん意外に積極的やん。何なに朝から欲しいん?ええよええよー」

「や、違!?ちょっ、はーなーせぇっ!!」


己の行いを後悔する間もなく、絡み付いてきた手と足に自由を奪われた。


でも……でも、今のはどう考えても起きたばかりの目じゃない。


「い、いつから起きて……」

「んー?お布団潜ってったとこらへん?」


……それって結構始めから!