それは沖田を巻き込んだことに負い目を感じている様にも見える。


山南さんの一件然り、本当はあれが心配でならないくせに。


花街通いも我関せずな態度も、あれを縛る枷をなくそうとするこの人なりの優しさだ。


まぁあれは全く気付いていないだろうが。


別に、それをどうこう言うつもりはない。人には其々の想い方があるだろうから。


この人の言う通り、この人は新選組を一番に選んだ。徹底して鬼になりきろうとするその様は、いっそ清々しくて嫌いじゃない。


俺はただ、確認がしたいだけ。




「……そやったら、相手が俺になっても文句は言わんとってくださいね」



この人は、無論俺の仕事を知ってる。時に枕席で情報をとってくることも、全て。


嫁と離縁する一因ともなったそれではあるが、必要ならば俺は止めるとは言えない。


だからと言って遠慮もしない。


俺にも俺の矜持がある。それが影である俺の生き方だからだ。



既に火の消えた煙管を片手に、副長がじっと俺を見る。


無表情の中にも垣間見える感情は、あいつへと燻る想いの残り香なのだろう。



「……そうなったら総司も心底趣味が悪ぃな」

「バラガキに言われたぁないですけどね」

「わーってるよ、だからだ」


どっからそれを、と不機嫌に顔を歪めた副長は、漸く煙管を置いて威圧感たっぷりに腕を組んで俺を見据えた。