飼い猫と、番犬。【完結】


驚いた顔できょとんと俺を見る沖田に、言いかけた言葉を飲み込んだ。


「知って……たんですか?」


あーそこな。


「まぁな、ほら、俺やし」


昔馴染みの連中は皆知ってはりそうやけど。


とは思えど一応その辺は適当に濁しておく。そこは俺の手を出す領分ではない。



「まぁ今日は遅いし取り敢えず寝ぇ。その辺のもん勝手にいらわんかったら好きにしてええし」

「えっ?」


これ以上俺が留まる理由もないだろうと、さらりと会話を逸らして沖田を下ろし、そのまま踵を返した。


なのに、クン、と引かれた袖が俺の足を止める。



「どこに……行くんですか?」


すぐに下を向いた沖田だが、俺の袖を摘まむその手を離そうとはしない。


暗さもあいまって表情まではわからなかったが、珍しくしおらしい様子に思わず笑みが漏れた。



「副長んとこ」

「え……土方さんと一緒に寝る、んですか?」

「阿呆、男と同衾して何がおもろいねん。一応報告しとくだけや」

「……ならどこで」

「此処で寝てもええん?」



意地の悪い質問だと思う。


しかし引き留めているのはこいつだ。その事実に口許がゆるゆると上がる。


湧き上がる加虐心と庇護欲。


相反する感情だが、少しばかり本気で可愛らしいと思ってしまったのだから仕方ない。



……悪い女め。




「ゃ、その……」

「なぁそれって、誘てんの?」