飼い猫と、番犬。【完結】


流石に本人が認めては何も言えないらしく、藤堂くんも押し黙る。


同情はしない。


行動したのはこいつであるし、俺も同じくしたいようにしているだけ。どう動くかは全て本人次第。


動いても動かなくても、それは結局自身の意思。


己の責任だ。



「……ま、今日は互いに頭冷やし」


流石にちらほら起きたらしい連中の気配がする。これ以上大事になるとそれはそれでまた面倒だ。


それに、今ここで俺が何を言っても火に油を注ぐだけ。


悔しげに唇を噛む藤堂くんを一瞥して沖田を抱え直すと、俺はそのまま障子を滑らせる。


「っ」


背後に揺れた気配を感じたけれど、言葉が発せられる事はなかった。






大きな屯所の隅の隅。静かな廊下を歩くと俺もまた冷静さが戻ってくる。


あかん、俺としたことがつい。



「ちったぁ落ち着いたか」


無性に溜め息をつきたい気持ちを堪えて部屋に入ると、腕に収まる沖田の顔を覗き込んだ。


涙はもう乾いていた。
俯きがちに目を伏せるそいつは恐らくさっきの事でも考えていたのだろう、複雑な面持ちで眉を下げている。


「……はい」

「まぁあれもただの男やっちゅうこっちゃ。よぉ耐えとった方や思うで。今日のところは蚊ぁにでも食われた思て堪忍したり」


それが互いの為や。


考えてもどうしようもない事もある。ならば忘れるのも一つの手だと、俺は思う。


前回同様物置程度の狭い部屋。隅にある煎餅布団をひょいと足で広げる。



「ほな……どしてん?」