飼い猫と、番犬。【完結】





「そこまでや」



屋根裏から降り立った俺は、直ぐ様藤堂くんの衿を掴んで無理矢理に引き剥がす。


確かに苛々していた。
少々荒っぽくなったそれに、藤堂くんは勢いよく畳に転げた。


弾みで前のめりによろけた沖田を受け止めて、そのまま抱き上げ立ち上がる。


何が起きたかを理解していないのだろう、僅かに捉えたその顔は真ん丸に目を見開いていた。


よろりと体を起こした藤堂くんも同じくだ。




「……なっ……」

「誰が夜這いせぇっちゅうた?無理矢理手籠めにして手に入る様なタマやあらへんて事自分かてよぉわかっとるやろ」


後悔、申し訳なさ、気不味さ。全てを背負い込んで今度こそこいつは今まで通りにはいられなくなるだろう。


少し冷静に考えれば藤堂くんにだってそのくらいわかる筈だ。


現に今も下から向けられるその顔は羞恥と屈辱に歪んでいる。


お前にだけは言われたくない──


そんな声が聞こえてきそうだ。



「……今晩はこいつもろてくで。んなとこやったらこいつも寝れんやろ」

「な!?何をっ」

「ええな?」


慌てて立ち上がろうとする藤堂くんは置いといて、直接沖田に問い掛けた。


すると、躊躇いがちに眼を揺らしながらも沖田は小さく頷いて、俺に回したその手にきゅっと力を籠めた。



「ほな、決まりや」