飼い猫と、番犬。【完結】



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沖田の身体の弱さ、そして土方副長自身が以前労咳(結核)を患った事を聞いた俺は、あいつの長引く咳が少し気になっていた。


本当は昨日確認しに行くつもりだったのだが、戻ってきた二人が面倒臭くて止めた。


それで今日、気配に聡い斎藤くんが夜間巡察でいない日を選んだのだ。


藤堂くんがこっちの様子を窺いだしたのは、沖田がそっぽを向いた頃だった。


別に見られて困ることはない。


ただ、以前その尻を叩いた身として、少し気になったのだ。


こんな時分に沖田を待っていた彼が、今のやり取りを見た後に起こす行動が。


先日の沖田然り。己の想いを殺し続けていた人間程ややこしい奴はいない。


故に、少しばかり覗かせてもらうことにしたのだが。






……おいコラ、俺ん時は噛みついてまで抵抗したくせに何を大人しゅう吸われとんねん。



案の定突っ走った藤堂くんだったが、少しして何故か沖田の方まで抵抗を止めてしまった。


ずるりと壁を伝い落ちる二人にこめかみが引きつる。


なんでやねん阿呆。


この部屋の異変に周りが気付いた様子もない。放っておけばどうなるかなんて目に見えている。


沖田のことだ、恐らく初めて知った藤堂くんの想いに遠慮や同情めいたものを感じているのだろう。


……どないする?


つと眉を寄せるも、流石に迷う。


俺の知らない刻を過ごしてきた二人。もしあれが受け入れるならそれで構わないのかもしれないとも思った。


そう、納得しようとした。



だがふとその頬を伝う涙に気が付いた瞬間。


手が、動いていた。