「もう良いでしょうっ!」
──ゴツン!
「い゛っ!?」
その手から逃れ反らした上半身を再び元の場所へと打ち付ける。
我ながら自分の動揺っぷりが酷く悔しい。
どうしてこんなに狼狽えなければならないのかと、じんじんと痛む額を擦りながらその元凶たる山崎を睨み付けた。
「おまっ、何すんねんっ!」
「貴方が急に変なことするからですっ」
普通に手で測ればいいでしょうがっ!
額より、頬が熱い。
暗くて見えないとわかってはいてもこいつには見透かされてしまう気がして、思わず顔を背けた。
「……照れとるだけかい」
……やっぱり、バレてる。
ふっと小さく吹き出す気配がして、益々振り向けなくなった。
……逃げたい。
「ええやん、一夜を共にした仲やろ」
「へ、変な言い方止めてくださいよ!あれはっ」
「あれは?」
なのについその口車に乗せられてしまう自分を殴ってやりたい。
覗き込むようにしてにやりと口角を上げる山崎と目があって、また言葉に詰まる。
楽しんでいるような、何かを期待しているようなその目に、もう何を言っても負ける気がしてならなかった。
「……別に、何も、してないですもん」
「そやな、ちょっと抱きおうて寝ただけやもんな」
「だっ」
うん、改めて言葉にされると恥ずかし過ぎて死ねる。


