飼い猫と、番犬。【完結】


平助が東下したのはまだこの西本願寺へ屯所が移る前。


半年以上ぶりとなる再会をした私達は、新しい屯所を案内しながらもその空いた時間を埋めるかのように次から次へと言葉を交わした。


勿論、山南さんの事も。


土方さんと一くんから粗方の事は聞いてたという平助は驚くことはなかったけれど、やっぱりまだ納得出来ていないようだった。



「可笑しいよ、絶対」



向こうでも土方さんと言い争ったらしい。私の手前、直接的な言葉こそなかったものの、不満を持っているのは一目瞭然。


平助は剣の流派も山南さんと同じで昔から仲も良かった。


自分の知らないところで行われたその処分は、簡単に受け入れられるものじゃないんだろう。


介錯をした身としては複雑な思いが湧き上がる。


私だって全てを納得した訳じゃない。でもここで私が迷ってはいけない気がして、ふるりとその思いを振り払った。





「一人で平気だった?変なことされたりしてない?」

「平気ですよ。妙な輩は思いっきり玉潰しですから」

「……わー……」

「……おい、もう少し恥じらいを持て」



それでも、今日だけはと久々に三人で布団を並べれば話も弾む。


いつもより少し夜更かししてだらだらと語り合ううちに、私は二人の声を子守唄にして、うつらうつらと心地良い眠りへと吸い込まれていった。