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「……沖田?」
目の前に座る女に、思わず声が漏れた。
しかしながらただぼうっと宙を見つめ、力なくその場にへたり込むそいつはピクリとも動かない。
揺らぎも何も感じられないそいつは、まるで魂のない人形(ヒトガタ)のようだ。
「介錯が済んだ時からこうだ。……どう思う?」
俺を呼んだんはその為か。
此処で何が行われたのかは勿論承知している。今しがた彼を寺まで運んだのは俺だ。
すっかり片付けられた部屋にいるのは俺達三人だけ。流石にこの状況には副長からも僅かに動揺した様子が窺えた。
こんな姿の沖田を一般の隊士らに見せる訳にはいかない。だからと言って外から医者を呼ぶことも出来なかったのだろう、新選組が女を囲っているなどと妙な噂を吹聴されても困る。
少しでも医術の心得があり、尚且つ沖田の事情を知る者──そう考えればこの俺に白羽の矢が立ったのも納得出来た。
一先ずその問いには何も返さず、沖田の視界を塞ぐようにしゃがみ込む。
この距離でも視点の定まらないその虚ろな目は、どこか遠くを見つめている。
頬に触れても話し掛けても、全く反応を示さない。
無。
そんな言葉でしか表現出来ないこいつは、それでも介錯は見事な抱き首(皮一枚残して首を切ること)だったと言うから恐ろしい。
女にしておくには惜しい。
だが己を殺し続けた代償はやはり大きかったようだ。
「……阿呆め」
酷く痛々しいそいつに、自然と眉が寄った。


