繋がれたままの右手に視線を落とし、山崎の言葉を考えてみるけれど、急にそれだけ言われても特に何も浮かんでこない。
寧ろ挨拶なら別に構わないのではと思うのだけど、何となくそれはこいつの言いたい事とは違う気がして言うのをやめた。
というか、復唱ばかりしかしていない自分がなんか間抜けだ……。
「阿呆、よう考えてみ。局長はんらは基本的に攘夷の考え持ってはる。あの人自ら江戸まで行って連れてきたんやで?当然そこらへんのことも話しとる筈や。せやのに異国の文化に通じとるような奴がほなよろしゅうて来ると思うか?」
首を傾げる私に山崎が呆れたように溜め息をつく。
若干気には障る物言いだけど、自分でも感じていたことだから言い返せなかった。
それに、そこまで言われれば流石に山崎が何を言いたいのかくらいわかる。
確かに、可笑しい。
この時勢、思想の違いは命取りになることだってある。私みたいに世の流れに大した興味がないなら兎も角、知り得にくい異国のことに精通しているのだ、それは考えにくい。
相反する思想を掲げた組織に好んで属するなんて、どう考えても何か裏があるようにしか思えなかった。
一見人の良さそうな雰囲気を漂わせるあれが偽りかもしれないと思うと、ちょっと恐ろしい。
「……、何を考えているのでしょう」
「さぁな、それはこっからや。兎も角自分は特に用心しときや、あれは絶対すけこましに決まっとる」


