飼い猫と、番犬。【完結】


角を曲がり、少し進んだところでやっと力の緩んだその腕を引き剥がす。


いつもならそのまま放置していくこところだけど、今日はあえてその返事を待った。


さっきの行動は、こいつにしては少々らしくないように思えたからだ。


二人きりなら兎も角、誰かがいるところであんなに堂々と絡み付いてくることなんて今までなかったのに。


しかも明らかな意思をもってあの人から私を遠ざけた。


多分だけど、何か理由があるような気がした。



「だってぇー総ちゃんがあれと仲良う手ぇ繋いでるさかいにー」



のは気の所為だったようだ。


不満げに口を尖らせた山崎に頬が引きつる。全っ然可愛くない。


「別にあれはそーゆーのじゃありませんっ。それだけならもう良いです!」


考え過ぎた私が馬鹿でしたっ。


やっぱりこいつの行動はよくわからない。遊んでるだけかと思えば助けてくれたり、優しいようなそうでないような、気紛れなその行動に振り回されるばかり。


今ならもう伊東さんもいないだろう。


気が付けば空はもうかなり明るくなっている。流石に一くんも起きてる筈。


さっさと顔洗ってきましょう。


そう、くるりと踵を返した時だ。



「あれには近寄らん方がええで」



低く言葉を発した山崎が手首を掴んだ。