平助がいないとちょっとだけ部屋が広い。


そして、かなり静か。


その日あった何気ない出来事ですら五月蝿いくらい賑やかに話していた平助だけど、急になくなるとそれはそれでやっぱり寂しいもの。


近藤さんが帰ってきてくれたのは嬉しいけど、一緒にやってきた入隊希望者の件で色々忙しそうでまだ殆ど話せていない。


だから何となく気になって呟いてみたんだけど……。



「ああ見えてあいつは顔が広いからな、もう暫く声をかけてみるつもりなのだろう。……寂しいだろうが我慢しろ」


座っている私の前で片膝をつき、幼子に言い聞かせるように目線を合わせて頭をポンポンする一くんに思わず顔がにやけてしまった。


「……何か可笑しいか?」

「いえ、優しいなーと思って」


元々一くんは物静かで、必要のないことで自分から話しかけてくることはあまりない。


けれど平助が東帰してからは気を使ってくれているのか、前よりは他愛のない会話が増えた。


心なしか一緒にいてくれることも増えた気がする。


まぁそれは私が他の隊士にボロを出さないように見張ってくれているだけかもしれないけど。


見てくれているんだなーと思うと、やっぱり嬉しい。



「……総司、髪はきちんと乾かして寝ろ。風邪を引く」

「はーい、わかりましたよー」


少し照れたこんな顔だって滅多に見られない。


平助には悪いけど、これはこれで中々有意義な時間かもしれない。