仕事は楽しい。


元々家庭よりも依頼の最中にいる方が性に合っていた。多少の波はあるとはいえ、仕事の途切れない今にはそれなりに満足している。


なのに、こんな感覚はいつぶりだろう。


そこにあった何かが、急にポロリと抜け落ちてしまったようだ。


女を抱いた熱などとっくに冷めた。代わりに触れた藤堂くんの沖田への想いだけが、俺の穴の空いた胸に仄かな熱を残している。


……否、その熱が他の何かを押し退けたのか。


突如湧いたその感覚を受け入れるように細く息を吐き、更なる闇を求めて俺はそっと瞼を閉じた。



藤堂くんも、副長も、斎藤くんも……他の奴らも。昔馴染みの連中は形は違えど、皆あいつを見てる。


女だからだというのもあるだろう。その妙な境遇や副長との過去もまたそうさせている要因なのかもしれない。


だが、ずっと見ていればそれだけでないのは流石にわかる。


皆、あれが心配でならないのだ。


どこまでも真っ直ぐで真面目で、そしてどこか危うい脆さを秘めたあいつ。


傀儡(カイライ)のように、何かの糸が切れてしまえばパタリと動かなくなってしまいそうにも思える。


だからこそ皆過保護なまでに甘やかす。


目が離せなくなる。






──俺もまた、同じく。