飼い猫と、番犬。【完結】



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何やっとんねん。



部屋の中で繰り広げられる打ち合いに、俺は思わず舌を打ちかけた。


四国屋ではないと気付いた後。


幾ら手練れ揃いとはいえその人手の少なさに安心など出来る訳もなく、単独行動の許されている俺は一人池田屋へと急いだ。


何故か沖田以外の気配が皆下にあることに一抹の不安を覚え、慌てて二階へあがると──これだ。



あの男も相当やりよるけど、いつものあいつやったらあない押されてばっかやないやろに……。


女だてらに剣の腕だけは一等のあいつ。それは何度もやりあった俺がよくわかっている。


ただ、二階に一人だというこの状況。少し考えればなんとなく合点がいった。


それでもピリピリと肌を刺す殺気を露に刀を振るう二人に、おいそれと水を差すことも出来ない。


俺が手を出すことによって、ギリギリのところで保たれているであろう沖田の集中が途切れては、それが命取りになる可能性すらあるのだから。



気配を断ち、気付かれないように中の様子を窺いながら頃合いを探る。


押されている。


既に男の刀をいなしきれていない沖田の体力は限界なんだろう。


手を出せるのは一瞬。



それを見誤れば──





「他愛ないね、もう良いよ」