実は、生まれて初めて、恋をしている私。

いわゆる、初恋ってやつかな。


相手はもちろん、松田君。


このことを知っているのは、綾莉だけ。

基本学校にいる時はいつも綾莉と二人きりだし、一緒にいるような友達もできていない。

別に困ってる訳ではないからこのままでいいんだけど。


「で、部活はどうなの? 松田と話せた?」

今は、お昼の時間。

二人で席をつけて、弁当を広げる。


「うーん、どうっていっても… 特に何もないかな…
 綾莉こそ、部活どうなの?」

「うん、私も普通。 中学の時よりも厳しいし、皆うまいし…
 頑張らなきゃなーって思う。」


少し疲れたような顔で笑う綾莉。


「そっかあ… やっぱ、大変なんだね…」

「そりゃぁねー。でも、なんだかんだで楽しいよ
 …あ! ねえ、村岡はどう!?」

「どうって?」

「部活で、どんな感じなの!? やっぱ、クールな感じ?
 疲れてても疲れを周りに見せないタイプ!?」

「あー、まあ、そんな感じかな」

「うわー、かっこいいねぇー! 疲れを見せないとか!
 じゃあさ、松田はどうなの?」

「え、あ…ああ。 うん、いつもと同じだよ」


うーん、報告みたいなことする事もないし…


あ!


「昨日なんだけど、村岡君が部活少し遅れるって言って体育館裏に行ってたよ!」

「あれか」


「「告白」」


……

「ぷははは…!」

「やっぱりそうだよね!
 体育館裏は定番だよねー!!」


心の底から笑って楽しんでいたのは、私だけだった。

私は知らなかった。
綾莉が村岡君のこと、好きだということを…