「〜〜♪」

今は村岡君が歌ってる。

いや、歌は普通だよ? 普通に歌ってるんだけどさ…


「村岡君、いつものテンションと全然違うこと…ない?」

隣にいる藤野君に問いかける。

__というか、藤野君もタンバリン持ってるし、テンションいつもと違うんだけど。


「あいつ、俺と2人の時はあんなにはしゃいでなかったけどなーまあ、楽しいからいいよそんなん! はい次、美夏の番なー」

はいはーい、私の番ね…

っておい!
私歌下手だってば!

「歌えないもん!無理無理!」

「まあまあ!細かいことは気にしなーいっ! はい、どーぞ!」


選曲されたのは、今流行りの恋愛モノ。

まあ何回か聞いたから歌えないことはないけど、恥ずかしすぎるし…!


「〜〜♪」

とりあえず歌う私。

なんか、みんながタンバリンとかやってくれないんですけど。
ポカーンとしたまま瞬きを忘れてるよう。

どうして!?
なんでのってくれないの!?

私そんなに下手だったかな…


「なんか、ごめん…」

歌い終わって謝罪する私。
さっきまで楽しい雰囲気だったのに壊しちゃったよ…


「美夏、そんな特技あったの…!?」

…へ?

特技? なんのこと?

「え? なにが?」

「お前そんなに歌うまかったのか! さすが我がサッカー部のマネージャーだなっ!」

いやいや、村岡君。 それはさすがに無理があるって…


「なんか…無理に褒めなくていいから…ほんと…」

「「無理じゃねー!」」
「無理じゃない!」


プルルルル…

「あ、私でるね」

このタイミングで、ありがたいタイムリミット。

「はい、はい。 あ、いえ、結構です。 はい、分かりました。

ってことだから、帰ろっかー!」


みんなと帰ってる途中も、私の歌がどーだこーだって…
ほんと、音痴だから…!