あれから、藤野君とはとても仲良くなった。

藤野君は帰宅部で、野球をやっているみたい。

ちなみに下の名前は留衣斗(るいと)君。


公園で私が泣いた事は本当に黙っててくれているし、毎日一緒に帰るようにもなった。

一方サッカー部の方はというと、毎日サボってしまっている。

このままのこのこ戻るわけにもいかないし、やめると余計に気まずくなる。


早苗先輩とは廊下で会わないように避け続け、松田君とも目を合わさないようにしている。

だけど、やっぱり綾莉にはバレていたみたいで、またパフェのお店に私を連れ出した。


「で、最近何があったの?」

やっぱり、この話だよね…

ここはきちんと言っておくべきだから、何も隠さずに言わなきゃ…

「実は、サッカー部に行ってない。毎日サボってるの。
帰りは、クラスメイトの藤野君に送ってもらってる…」

綾莉は一瞬驚いた表情をしたけど、納得したような顔に変わった。

「なるほどねー…聞きたいことは山ほどあるけど、一番気になるのは
なんでサッカー部から遠ざかっているのか。なんだけど…答えれる?」

綾莉は、優しい…。

「松田君が他校の子と帰ってるのを見てからおかしいの。
部活でもミスばっかりだし、それで早苗先輩に怒られて、帰れって言われて…」

「部活に行きづらくなった、ってこと?」

こくり。

綾莉の質問に頷く。

「それで廊下も変なルートで進むのね?部活の話も全くしないし…」

また、頷く。


「…わかった。じゃあなんで藤野と仲良くなったか教えて?」

「その日、泣きながら帰ってたら、藤野君が声をかけてくれたの。
そしたら公園のベンチで話を聞いてくれて…
泣きたい時は泣けって。みんなには黙っておくからって。言ってくれた。
だから私、藤野君に逃げてた…。」