「あ、愛梨ちゃん!」
ふと、後ろから声を掛けられて振り返る。
そこにはこちらに向かって歩いてくる隼翔先輩の姿があった。
「隼翔先輩!おはよーございます!」
「ん、おはよう。海渡、そんなにゆっくり歩いてて、朝練間に合うのか?」
先輩は海渡にも声を掛ける。でも、海渡は相変わらずのぶっきらぼうな態度。
「別に、んな心配いらないっすから」
「もー海渡!先輩、こんな奴気にしないでください!」
海渡が横で舌打ちをする。まったくもう...本当は先輩のこと尊敬してるのに、誤解されちゃうじゃん。
「...愛梨ちゃん。じゃあ、ほっといて一緒に先行こうか」
「......えっ」
そう言うと、先輩は私の手を引いて歩きだした。
よく見ると目が全く笑ってない。機嫌損ねちゃったかな...?
でも、先輩ってそんなの気にする人?なんかそんな感じしないけどな...
「先輩...なんかすみません。あんな奴で」
「いや?ただ仲良さそうでうらやましいなって思っただけだよ」
その後の先輩は笑顔だった。