「きゃー!隼翔せんぱーい!!」
相変わらずの大歓声。先輩後輩関係なく、
サッカー部エース3年の冨坂隼翔は、今日もたくさんの女子達に囲まれていた。
「格好いい...!」
そして私、2年の清水愛梨もその一人なのである。
あんなにたくさんライバルを作るつもりはないけど...初恋の相手である分、簡単には諦められない。
「どうすればいいんだろうなぁ...」
必然的に、ファンという1つのグループにまとめられてしまうのは仕方の無いことなんだけど、特別な存在になりたいという願いはファンの誰もが抱いているものだ。

私だって、少しずつ声かけたり、ドリンクを差し入れてみたりと努力はしている。
でも...私のとりえなんて、大好きなバドミントン部で培ったバドミントンの技術と、他よりちょっとだけいい頭くらい。
学年の違う私なんて相手にしてくれるはずがないんだ。
それに私なんて子供っぽくて、中3とは思えない風格を漂わせた冨坂先輩に、振り向いてもらえるはずもない。