臆病者の鬼遊び




倫太郎は、すぐにまた床に広げてある本に目を落とした。


この人は、どうしてこう、いつも不機嫌そうなんだろう……。


七海子はずっと疑問に思っていた。

ここ数日、一緒に暮らしてはいるものの、倫太郎が思い切り笑っているところなど、一度しか見た事がない。


はじめて会った日――強行におんぶをして、ダッシュで帰宅した時の事だ。

彼はぎょっとしている七海子を見て、腹を抱えて笑っていた……。


あれ以来、倫太郎は笑わない。


愛想笑いすらしない。


疲れないのかな、と思う。


ただ七海子は、あまり倫太郎を刺激したくなかった。


幸いな事に、彼は現在『充電中』だったが、ゲージが満タンになり次第、行動に移す気なのは分かっていた。


『鬼』退治……。


彼が、七海子の家に来た理由。