先輩が完全に遠くに行ってしまってから、七海子とまっちはそろそろと空き教室を出た。
 

七海子は、そういえば、どうしてまっちはあの先輩から隠れたんだろう、と気になった。


すると、それを知ったように、まっちが小さく言った。


「……今、あの人が話してたの、うちの兄貴のことなんだ」
 

まっちは、しょんぼりとしていた。


七海子はどうしてだか、とてもショックを受けていた。

まっちがぼそっと、


「だから付き合うのよせ、って言ったのに……」


と呟いて、余計そのショックが強くなった。


まっちの顔は屈辱や、色々な何かで赤くなっている。