琥珀の記憶 雨の痛み

更衣室でナツと合流し、おしゃべりしながらのんびり着替えてから外へ。

ナツの情報通り、雨はもう止んでいた。


そしてそこにはいつも通り、だるそうに壁に寄りかかって煙草をふかすユウくん。

湿ったままの地べたに座り込んで、服が濡れるのなんてまるで気にしていないようだから不思議だ。


「ユウくんお疲れー」

と真っ先に声をかけたナツに対して、彼は「おお」とやる気のなさそうな返事をするのみ。

なんだか、さっきまでレジで隣に立っていた人と同一人物とは思い難い。


「今日はナツが莉緒のこと送っていくんだぁ」

にこにこと嬉しそうにナツがそう宣言して、ぎょっとした。

一緒に帰ろうとは言われてたけど、『送っていく』はちょっとニュアンスが違う。

「ナツ? 別に私、1人でも大丈夫だけど」

「いやぁん! 一緒に帰るって言ったじゃんー!」

「あ、うん。それは……うん」


どうにも上手く説明できないでしどろもどろになっていると、ユウくんがふっと鼻を鳴らした。


――今のは、『笑った』のか『嗤った』のか、どっちだろう。
何も言わずに昇っていく煙を眺めるだけの彼からは、何も読み取れない。

何のアクションも起こさないユウくんをしばらく無駄に待って、考えることを諦めた。