「莉緒。――何があった?」
タケが、動いた。
一歩前に出て、少し近づいた。
ユウくんに半分押されるようにして、躓きかけながら私も少し進んで。
距離が、つまる。
「え、何、どうしたの?」
後ろの方でアツシとメグが、漸く状況に気付いて慌てだした。
「アツシ、顔は出したからな。義理は果たした」
タケを飛び越えて、ユウくんが最初に声をかけたのはアツシだった。
「は? 今来たばっかだろお前、何言ってん……」
「連れて帰るから、こいつ」
ユウくんが何のつもりでそんなことを言っているのか、さっぱり分からない。
言われたアツシだって混乱気味だけど、パニックなのは私の方だ。
ユウくんが言った『こいつ』が指しているのは、間違いなく私のことだった。
「莉緒、なんで? 一緒にダーツするんじゃなかった?」
なんでって。
聞かれても、知らない。
私が聞きたい。
なんでユウくんがそんなこと言い出して、――なんでタケが、ユウくんじゃなくて私にそれを聞くのかを。
『黙ってろ』と言われたからじゃなくて。
分からないことが多すぎて、何を喋れば良いのか。
それでも何か声を発したくて、この状況は私の意思じゃないんだと伝えたくて。
口を開いたけれど、ヒュッと乾いた音が鳴っただけだった。
――声が、出ない。
「莉緒ぉ? ……『そう』、なの?」
ナツだった。
彼女がそんなに困った顔をする理由も、良く分からなかった。
『そう』っていうのはつまり、私がユウくんに連れて帰られるのかって意味だろうか。
私とユウくんが、『そういう』関係かって意味なんだろうか。
あれ、おかしいな。
ナツは私とユウくんを、くっつけたがってたんじゃなかったっけ。
そしたら。
『そう』見えるのなら、彼女は困った顔じゃなくて、嬉しそうな顔、するべきじゃない?
タケが、動いた。
一歩前に出て、少し近づいた。
ユウくんに半分押されるようにして、躓きかけながら私も少し進んで。
距離が、つまる。
「え、何、どうしたの?」
後ろの方でアツシとメグが、漸く状況に気付いて慌てだした。
「アツシ、顔は出したからな。義理は果たした」
タケを飛び越えて、ユウくんが最初に声をかけたのはアツシだった。
「は? 今来たばっかだろお前、何言ってん……」
「連れて帰るから、こいつ」
ユウくんが何のつもりでそんなことを言っているのか、さっぱり分からない。
言われたアツシだって混乱気味だけど、パニックなのは私の方だ。
ユウくんが言った『こいつ』が指しているのは、間違いなく私のことだった。
「莉緒、なんで? 一緒にダーツするんじゃなかった?」
なんでって。
聞かれても、知らない。
私が聞きたい。
なんでユウくんがそんなこと言い出して、――なんでタケが、ユウくんじゃなくて私にそれを聞くのかを。
『黙ってろ』と言われたからじゃなくて。
分からないことが多すぎて、何を喋れば良いのか。
それでも何か声を発したくて、この状況は私の意思じゃないんだと伝えたくて。
口を開いたけれど、ヒュッと乾いた音が鳴っただけだった。
――声が、出ない。
「莉緒ぉ? ……『そう』、なの?」
ナツだった。
彼女がそんなに困った顔をする理由も、良く分からなかった。
『そう』っていうのはつまり、私がユウくんに連れて帰られるのかって意味だろうか。
私とユウくんが、『そういう』関係かって意味なんだろうか。
あれ、おかしいな。
ナツは私とユウくんを、くっつけたがってたんじゃなかったっけ。
そしたら。
『そう』見えるのなら、彼女は困った顔じゃなくて、嬉しそうな顔、するべきじゃない?



