早くしなきゃ。

アイツが来ちゃう。



あたしはそう思うと、掲示板の前の人だかりをくぐり抜けて、急いでその紙をはがす。

画鋲で掲示されているため、いちいち外している暇なんかなくてそのまま紙を破るようにはがした。






…でも。






「…あれ。何これ、」

「!!」



早月翔太が生徒玄関に来ると、自分のロッカーの中を見るなり怪訝そうにそう言った。

どうやらその紙は、早月翔太のロッカーにも貼られていたらしい。



「だっ、だめ!!」

「!」



早月翔太がそれを読む前に、あたしはそう叫ぶと直ぐ様そいつからそれを奪い取った。



「…世奈ちゃん?」

「…っ、」



不思議そうな早月翔太の声が、後ろから聞こえる。

手足が震えて動かない。

これは…この紙に書いてあることは、早月翔太にだけは知られたくない。



あたしはそう思うと、それを隠して誤魔化すように笑いながら、そいつの方を振り向いた。



「は、ははっ…」

「?」

「や、だな。あんたのとこにも貼ってあるとか、」



…ヤバイ、またコイツの前で泣きそう…。



そう思っていると…、