いや、えぇ~って何よえぇ~って。


あたしはそう言って鏡を閉じると、それを制服のブレザーについている胸ポケットの中に入れる。

…これ以上鏡を見てたら本気で勘違いされそうだ。

そう思って美桜と雑談をしようとしたら、そこへアイツがやって来た。




「おはよ、世奈ちゃん」

「!!」



アイツ、とは昨日出会ったばかりの早月翔太で。

そいつは昨日の時みたいに周りに他のクラスの女子達をも連れながら、あたしにそう挨拶をしてきた。



「お、おはよう…」



ってかやっぱり、凄い人気だな。


そいつのモテモテぶりにあたしが圧倒されていると、早月翔太は「あ、そうだ」と自身の鞄の中を何やらごそごそと弄りだした。



「…?」



なに…?


そんな奴の行動を疑問に思っていると、やがて何かを見つけた早月翔太があたしにあるものを差し出して言う。



「はい、これ。世奈ちゃんにプレゼント」

「!」



そう言われてなんとなく受け取ったのは、なんと透明のピンクの袋で可愛くラッピングされたクッキーだった。



「は…なにこれ!」



ってか視線!周りにいる女子達の視線がめっちゃ怖いんですけど!