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「え、翔太と?」
「うん。何かあっただろ」
そして、その放課後。
部活に行く前に、たまたま世奈と出会した生徒玄関で、早速俺は世奈に問いかけてみた。
…しかし。
「いや?何もないよ」
「は…」
「最近は特に喧嘩もなくて、わりと穏やかな毎日が続いてるんだよね。だから超平和」
「…嘘だろ」
「え?なに?」
聞いてみたのも束の間。
世奈は、俺が思っていたこととは真逆の言葉を口にした。
しかも、その上不満がないとか。
だったら早月が世奈と夏祭りに行かない理由がますますわからないわけで。
しかも、俺と早月が一緒に行く日の夜はちょうど花火大会があるのだ。
…今までの早月なら絶対と言っていいほど世奈と行きたがりそうなのに。
それでも俺はふとあることを思い付くと、また世奈に問いかける。
「っつかさ…お前は誰と夏祭り行くの」
「え、あたし?今度の夏祭り?」
「うん」
「んー…翔太と行きたいなぁって思ってるんだけど、まだ誘ってないんだよねぇ」
「!」
そう言って、「そろそろ言っておかなきゃなぁ」なんて、世奈が言うから。
俺はそんな世奈の後ろで、思わずびっくりする。
…え、じゃあ、つまりアレだ。
早月は、世奈を夏祭りに誘わないで、何故か俺を誘ったわけだ。
いや、別に男二人で夏祭り…なんてのは不思議な話じゃないけど、ただ誘ってきた奴がらしくないわけで。
いつも「世奈ちゃん」「世奈ちゃん」なのに…しかも夏祭りっていう恋人にとっては大事であろうイベント。
なんか、よくわからない。
いや、そもそも最初から不思議な奴ではあったけど。
……なんで、世奈じゃなくて俺?
俺は世奈に夏祭りのことは言わないまま、やがて部活に行くために世奈とその場で別れた。

