そして俺はそんな世奈のオーダーを受けると、早速オレンジジュースをグラスに注ぐ。
…その間、チラリと健に目を遣って、「いま告れ」と目で合図を送る俺。
けど健は、「無理だよ!」と小さく首を横に振る。
何でやねんな!
…しかし、しばらくそんな静かなやり取りをしていると…
「っ…げ、何かヤな奴がいるんだけど」
次の瞬間。
やっと、健の存在に気づいた世奈が、健を見てそう言った。
…せやけど、アホ世奈!
わざわざそんなん言わんでもええのに!
しかもその言葉を聞いた健が、即座に言い返す。
「お、俺だってお前の顔なんか見たくねぇよ!」
「だったら今すぐ出てってよ。あんたと同じ空間にいるってだけで悪寒がするっ」
世奈は健にそう言うと、身震いをするフリをする。
…ほら、すぐそうやって喧嘩腰になるからアカンねん。
せやから俺は喧嘩が酷くなる前に、世奈の前にオレンジジュースを置いた。
「まぁまぁまぁまぁ、そんなこと言わんと。な?このオレンジジュース飲んだらスッキリ出来るで」
「…ありがと」
世奈はそのオレンジジュースを受けとると、取り敢えずそれを一口飲んで、その場が静かになる。
そんな世奈を遠くから見ながら、一方の健は「またやってしまった…」とか言いたげな顔しとるし。
ほんまに焦れったいなぁもう。
せやから、早よ告れ言うてんのに。

