「…~っ、」



…いつもの触れるだけのようなキスとは違う。

甘いけど、深くて溺れるようなキス。


しばらくしたら息苦しくなって翔太の肩を叩くと、翔太はすんなり唇を離して…あたしをいとおしそうに見つめてきた。

そしてその視線さえもあたしが照れていると、翔太があたしの頬に優しく手を遣って言う。



「…ごめん。世奈ちゃんが可愛いから、もう止められる自信ない」

「…ん、いいよ。やめないで」

「!」

「平気、だから」



あたしがそう言うと、もう止まらない翔太が、今度はさっきよりも深く深く唇を重ねてきた。

甘すぎるそのキスに、一方のあたしは思わず頭がぼーっとしてきてしまうけど、

今は恐怖や恥ずかしさよりも…このまま時間が止まってしまえばいいとすら思ってしまう。

…誰にも邪魔されたくない。

しばらくの間甘いキスを繰り返すと、その後翔太はあたしを抱えて場所を寝室へと移動した。



「………っ、」

「世奈ちゃん、」



…交わる視線。

苦しいくらいに高鳴る心臓。

そして、いつもとは少しだけ雰囲気が違う翔太…。


だけど、あたしは出来る限り全てを受け止めた。

普段翔太があたしにくれる愛の数の分だけ、あたしもいっぱい自分の気持ちを伝えたくて。

初めての甘い時間は、最初は怖かったけれど…今は不思議と心地よくて、ずっとこのままがいいとすら思ってしまう。


翔太、大好きだよ。


いちいち言葉にしなくても、素直に伝わる空間があたしには幸せすぎて…何よりも大事な瞬間。

その後は誰にも邪魔できない甘い時間が流れて、あたし達は幸せな一時を過ごした…。



初めては、大事な彼氏の誕生日に。

ハッピーバースデー、翔太。








【完】