健は兄貴の言葉にそう言うと、その瞬間に何を思ったのかチラリとあたしに目を遣る。
あたしは泣いていてわからなかったけど、健はその言葉を中途半端にしたまままたあたしの手首を掴んで、兄貴に言った。
「……ごめん、勇斗くん」
「?」
「ちょっと世奈借りる、」
健はそう言うと、涙を拭っているあたしをカフェの出入口へと連れ出す。
そんな突然の健の言葉に、兄貴は半ば心配そうにしながら…
「え、どこ行くねん!」
「ちょっとそこまで。…大丈夫、そんなに遅くなんないから」
あたし達の姿を見ていたけれど、健の気持ちを知ってる兄貴はそれ以上止めたりはしない。
でもその代わりに、カフェを出てすぐにどこかへと向かい出す健に、あたしは手を振り払いながら言った。
「っ…離してよ!」
「!」
「聞こえなかった?あたしは、独りになりたいの。あんたと一緒にいたいわけじゃない」
「…」
「~っ、もー帰る!!」
しかし、あたしがそう言ってマンションに向かって歩き出すと…
「待てよ」
「!」

