そんな兄貴を疑問に思っていると、あたし達に水の入ったコップを配りながら、兄貴が翔太に言う。
「…ん、まぁ、ええんちゃう?人生に一回くらいそんなことがあんのは、俺的にはアリやと思うし」
「!」
「…ただな、翔太くん」
「?」
そして兄貴は水を配り終えたあと、また翔太の目の前にやって来て言葉を続けた。
「…世奈のことは、そんな簡単には渡さへんで、」
「え、」
「俺は、世奈には健が一番合うてると思うし、世奈のことを本気で守れんのは確実に健しかおらんと思てる、」
「!」
「はっきり言って…
俺は君にこの二人の邪魔をしてほしないねん」
兄貴は翔太に厳しい口調でそう言うと、真っ直ぐに翔太を見つめた。
まさか兄貴がそんなことを言うとは思っていなかったあたしは、翔太をかばおうと慌てて口を開く。
「ちょっと兄貴、そんな言い方っ…!」
だけどそう言おうとした瞬間、あたしはそれをすぐに健に腕を掴まれて止められてしまった。
「いいから、お前は黙って座っとけ」
「!!」
そんな健にびっくりしたあたしは、目を見開いて健の方を見遣る。
なんでっ…!?健はあたしと翔太のフォローをするためにここまで一緒についてきてくれたんじゃないの!?
なのに何でそんなっ…
「…だから、世奈とは別れてくれへんか。翔太くん、」
「…、」
健は兄貴の味方をするの…?
そう思ってあたしが泣きそうになっていたら、翔太が呟くように兄貴に言った。
「…すみません」
「…」
「それはイヤです」
「!」
「僕は世奈さんから離れません、絶対に」

