なんか、よくわからないけど…。



“お菓子作りの基本”とか

“チョコスイーツレシピ100”とか

“タルトケーキ特集”とか…



いろんな本が置いてある。

…これ見て勉強してたのか。

それとも、翔太は将来こういう関係の道に進むつもりなのかな?



そう思っていると…



「世奈ちゃん、」

「!!」



その時、翔太が背後からあたしの名前を囁きながら、ふんわりと抱きしめてきた。

その突然の行動に、あたしの身体がビクリと反応する。



「翔っ…」



名前を言いかけたらふいに翔太の方に顔を向かされ、すぐにキスをされた。

いつもならキスなんてそれなりに慣れてるしあまり緊張したりしないはずなのに、今は心臓がバクバクと大きな音を立ててあたし自身を少しの恐怖に陥れる。

口を離すと至近距離で目が合って、優しい顔をした翔太が言った。



「こっちおいで、」



そう言われると同時に、近くにあったシングルベッドに連れて来られる。

それは余裕で二人で寝れるけど、お互いの距離が近すぎるだろうからきっとあたしは緊張して眠れない。

あたしがそんなことを思っていたら、翔太に優しくベッドの上に座らされた。


そして未だバクバクと心臓が高鳴るなか、あたしのすぐ隣に翔太もベッドの上に座る。

物凄い至近距離で目が合うから、あたしが顔を赤くして戸惑っていると、翔太はそれに気づいているのかいないのか、片手であたしの髪を撫でてきた。



「!」



その行動にすらびっくりしていると、しばらく髪を撫でていた翔太が言った。



「…ね、世奈ちゃん」

「?」

「今から、世奈ちゃんのこと抱いてもいい?」