翔太がそう言うと、健は少し戸惑いながらも首を横に振った。



「べ、別に…いいよ。俺がお前の立場だったら、同じこと言ってたと思うし」

「…そう、」



だけど健がそう言ったら、翔太は「でも、」と言葉を続けて言う。



「…もう二度と、世奈ちゃんのこと傷つけないでよね。“うっせー”とか“黙れ”って言ったんだっけ?

あの様子じゃあだいぶ傷ついてたみたいだよ、世奈ちゃん」

「…ん、」

「頼むよ。僕も、世奈ちゃんのこと絶対に傷つけないからさ、」



翔太のそんな言葉に健が頷くと、二人はあたしの背中に視線を移した。

一方、後ろで二人がそんな会話をしているとは知らないあたしは、再びアドレスを交換した健にこっそりメールを打つ。


……健が怖くて、自分の気持ちをはっきり表せなかった自分は、もういないから。


そして「送信」ボタンを押すと、あたしは独り微笑んだ。




“健へ。さっきは、ごめん。



ずっと、良い幼なじみでいようね”